乳がん術後や婦人科がん術後、またその他手術をした痕の痛みはすぐに消えてくれませんよね

皆様はどうやってお付き合いされていますか?

手術をするということは、何かその身体部位に手術を施すほどの異常が起きていたということですよね。身体の構造的変化をさせなければいけなかった、ということです

そのような出来事が起きた時には、その前後でその人それぞれのドラマがあるはずなのです

とくに出来事から近い過去と直後は、良い思い出とは言えないことも少なくないかもしれません。そのような身体の痛みの記憶には必ず、心の傷みを伴います。ケアをするときにはどちらにも働きかけてあげる必要があり、その時々で痛みと傷みケアのバランスを取りながら、3歩進んで2歩戻るくらいの亀の歩みの速度かもしれないことを頭の片隅に置いておくといいと思います

それも、以前の自分に戻るという意識ではなくて
新しい自分に向かって1つずつ積み上げていく
そんな気持ちで新しい生活を楽しんでいけたらいいですね

がん治療において、運動の有効性が世界的にも沢山発表されるようになってきました
ただ一言で「運動」といっても様々な種類があります
また研究において、どれくらいの強度の運動をどれくらい行うと予後に良い影響をもたらすなどの報告があり、それらは実践してみた方がいいと私も思います

更に、これから書くことについても考慮してみると、運動のもたらすメリットが個々のベネフィットにより貢献していくのではないかというのが今回のブログの内容になります

その考慮ポイントとは、運動の「速度」
なぜ、速度なの?という疑問にまずは答えていこうと思います
手術を受けたあとなど、皮下組織に何か変化を加えられたときは皮膚だけでなくその下にある浅筋膜や脂肪組織にも整合性の変化が生まれます。基本的には胸筋群は温存となりますが状態によっては胸筋にも変化がある場合もあります

このような場合、その組織たちに何が起きているのか?

身体組織の多くは「結合組織」でできています
結合組織とは全身の組織と組織を繋ぎ、支えるための組織の総称で広義的にも狭義的にも表現されるワードですので解剖学的には細かく分類されるのですが、今回は主に皮膚・脂肪・筋膜のことを指して話を進めたいと思います

結合組織は、炎症(熱)と摩擦により固まりやすくなります
これらが発生するときは、手術などにより組織に傷がついたあと(炎症)、何度も同じ方向に同じような動作を速く繰り返す動き(摩擦)が挙げられます
炎症については、運動強度、負荷、可動域などを過度に動かしすぎてもなりますね

後者の、「速く繰り返す動きもまた結合組織たちを固める原因になる」とういことは、とても重要なポイントです
逆を言えば、その反対のことをしたら結合組織を柔らかく使える運動になるということです

結合組織は硬いゴムのようなものと考えてください
素早く伸ばそうとすると難しくても、じっくりゆっくりじわじわと力を加えていくと伸びていく、そのような性質があるのです

例えば、ヨガやピラティス、太極拳などはゆったりとしたスピードで実践しやすい運動のタイプが結合組織へ働きかけやすい動きになります

更に、ゆったりとした運動を呼吸を意識して行うことは、メンタル面への働きかけにも効果的で、心身を共に養うのに適した運動でもあります
痛みと傷みの記憶は、脳だけでなく身体自体にも記憶されています
実際に痛み信号は脳からの指令だけでなく、損傷部や外傷部からの神経的感作もうけるという考えもあり(cf.ペインサイエンス)ので、思い込みよりも傷めてしまった箇所そのものへの「リハビリ」が必要なことが言えます
そのような場合にヨガは、寄り添い、支えて、強くしてくれる運動の1つ

一方で、素早い運動がダメか?というと、そんなことはありません
神経的な働きを考えると運動学習をするときには、環境・荷重負荷・方向性・速度などをなるべく様々な組み合わせでプログラムを組むと学習が定着しやすいとも言われています
「動ける身体」には、必要な要素の1つでもあるのです

だから、スピードが速い動きが好きな人は、ヨガなどのゆったりとした内観するような動きも取り入れてみる。ゆったりとした動きが得意な人は、時々は素早い運動もトライしてみる
このような運動のバランスが取れているとより快適な心身に近づくのではないか、というのが今回の提案になります

痛みと傷みを回復する目的においては、ヨガなどゆったりとした運動や呼吸を意識することがメンタルやマインドのコントロールと身体の双方へ働くということが大切なポイントになります

運動が嫌いでも、ゆるゆるヨガならできそうじゃない?
なのでBOSでは、術後のお身体に、リンパ浮腫でお悩みの方に、リハビリヨガを提供しています
(最終的にヨガの宣伝みたいになってしまった。笑)

最後までお読みいただきありがとうございました