自分を好きになる方法‐運動のすゝめ
自分を好きになれないとき、嫌いだと思ってしまうとき
そんな時は皆さんどのように過ごされていますか?
心理学や認知行動療法の分野でも様々な方法があり、それらを試すのもとても良い方法だと思います
ただし少し気分が落ち込むなというようなレベルではないとき、医療者ではない方がそれらを試す場合には、まずは専門家のところへ足を運ぶことをオススメします
今回は「自分を好きになる方法」というタイトルにしているものの、実は好きになれなくてもいいと私は思っています
好きにはなれなくてもいいから、自分自身を否定したり、批判したり、無視したり、攻撃してしまう心理・思考の出番が多くなる環境を変えていけると良いのではないか?と、そのための方法の1つとして運動が効果的であることをお伝えしたいと思います
運動が働きかけられること
①自律神経の調整
②認知能力の向上
③レジリエンスの向上
④パワーやスタミナの向上
1つずつ簡単にみていきましょう!
①自律神経の調整
私たちヒトは、身体の外部と内部から常に「刺激」を受けて生きています
日光を浴びることも刺激
寒いところから暖かいところへ移るのも刺激
何かが身体に当たるのも刺激
美味しいごはんを味わうのも刺激
心地よい音楽を聴くこともウンザリする騒音を聴くのも刺激
などなど、刺激の嵐なのです
これらの刺激に対して、私たちの身体(もっと言うと脳と脊髄の中枢神経)は何かしらの反応をして身体を心地よい平衡状態を保つように指令を出しています
そのような反応のやり取りがされる道の1つが、自律神経系と言われるものです
交感神経・副交感神経(・迷走神経)というワードを聞かれたこともあるかもしれません
これらはまさに自律神経と言われるものです。交感神経は身体をHighな状態へ持っていくのが得意で、副交感神経(迷走神経)がLowな状態へ導くのを得意としています
この2つは、どちらが良い悪いというのではなくて、それぞれが働くべき時に正常に働いてくれて、身体がその個人にとって快適状態をつくれるように調節できると、「自律神経が整っている」と表現できると言えるでしょう
運動をしていくと、この自律神経のふり幅が極端になりにくくなります
つまり、自律神経の調節がうまい身体になるのです
身体を鍛えると共に神経を鍛えられているのが理想的なトレーニングですので、これはどのような身体状況の方にも、その時期や状態に合わせてフィットさせていきながら取り入れていきたい方法とも言えますね
②認知能力の向上
運動をしていくと、身体の開発がされていきます
身体の開発というのは、今までなかったものが生まれるという意味ではなく
今現在すでに在る身体機能が研ぎ澄まされていくというような意味合いになります
例えばスクワットのような動作で膝を90度まで曲げるときと45度くらいまで曲げるとき
膝を曲げるという行動は同じですが、どのくらい曲げているのかを認識するには訓練が必要であったりします
運動指導を受ける時に「曲げすぎです」「もっとこうして!」など言われても、自分の動きと何が違うのか分からないときなどが多くあります
このような関節を曲げる角度だけでなく、動きのタイミングや、協調的に四肢を動かしたり、音に合わせて動いたり、視覚的に捉えてある点に向かって腕を伸ばすなど、運動の調節をするときの身体内部の感覚を統合する力を運動で養うことができます
もちろん、意識的に行うことで培われるものですが、まずは「動く」ということを行っていくと
そうすることで認知能力のスイッチが入りやすくなり、より動作や感覚を複数組み合わせた情報を処理できるようになっていきます
③レジリエンスの向上
日本語では「回復力」ともいえるレジリエンスは、運動によっても向上することができます
これは栄養状態や睡眠などからの回復も必要です。ただ①でもお伝えしたように、どのような状態でもできる運動があり、何かしら取り入れてみることはより効率的に回復力を高めることに繋がるでしょう
回復力、というのは
②でも触れた私たちヒトの日々受けている刺激とも関係していて、刺激がHighにもLowにも強すぎると、その反動でHighになりすぎた神経がとてつもないLowの方へ傾いたりその逆も然りで、ジェットコースターのような激動をすることがあります
大きく振れてしまった反応状態を平衡状態に戻したり、そこから更に良い方向へと進んでいく力が「回復力」=「レジリエンス」が高い状態といえます
運動をしているとき、つまり身体活動が何かしら起きているときは、インプットされる刺激の量が増えるので、それに対して常に反応する状況をつくることができます
日常中よりも多くの刺激、または日常では受けないような刺激を受けるので、「いつもと違う状況」をつくりだしていることになり、それに対して反応し平衡状態を保つ力が養われます
ヒトの身体が1番心地よいのは平衡状態を保てているときですので、何かしらの刺激に対して常に元に戻るための反応を示すので、運動による非日常や非現状な刺激を入れるのはそれだけで神経のトレーニングになるのですね
なので、それを続けると、回復力=レジリエンスを高めていくことができますし、結果的に抵抗力≒免疫力が強くなることにも繋がります
④パワーやスタミナの向上
③のような状態をつくられ始めたら、それをさらに強化していくことでパワーやスタミナを養うこともできます
筋力のようなパワーを鍛えていく方向にも進めるし
呼吸系とさらに神経の持久力を高めていくことでスタミナを鍛える方向にも進めます
ここで言えることは、パワーやスタミナの土台つくりがとても大切ということで、運動や身体を強くするということはパワーやスタミナだけではなく、むしろそれらは土台があってやっと乗ることのできるものであるということです
少し付け加えると
心肺機能の向上は③までの運動による効能を得ている間にも育まれているので、さらに持久力を上げていきたい場合には、さらに呼吸系・心肺機能を鍛えるような狙いを持って運動を行うと良いですね
トレーニングなどを始めて1~2か月で「なんだか体力がついてきた気がする」と感じることもあると思います
このときに起きているのは、今まで眠っていた神経が活性化され、身体の開発が進んだことで今まであまり使われていなかった潜在的な筋肉や機能が稼働できるようになり動くことが楽になっている状態と考えられます
このように、運動というものを大なり小なり行うと、こんなにも良いことが連なってきます
そしてこれらが整い、神経が鍛えられ、肉体的にも強くなっていくと
体力的な余裕から心理的余裕も生まれやすくなりますし
自律神経の回復力が高いことで精神的な振れ幅も穏やかになりやすくなります
運動は体だけを鍛えるものではなく、心身を鍛えるものといえそうですね
皆さんも運動して新しい自分に会いたくなってきませんか?
運動は、例えば手術を受けたあとで体力も気力も落ちているときにできるものから、体力が少し戻ってきて向上させていきたいときにできるもの、さらにスポーツに取り組むなど体力レベルの高いものまで、様々な時期に合ったものがあります
さらに、術後リンパ浮腫のある方や発症リスクのある方に向いている運動もあり、個々人の状態やニーズに合った運動のカタチがあるので、自分のその時々に合ったものを探してチョイスしてみるのも楽しいかもしれません
もちろん何もしないということをするのも良いと思いますよ
運動とはこういうものだ!
という感覚は、少し横に置いてみて
こういうのもあるんだ!
と、今だからできることに目を向けて没頭してみてもいいかもしれませんね
そんな風に楽しんでいる自分を想像してみて?
自分のことが少し好きになれそうじゃないですか?
最後までお読みいただきありがとうございました