「リンパ」と聞くと連想されるワードは何でしょうか?

一般的には「むくみ」が多いのではないだろうかと思います
もう少し専門的な知識でいえば、「免疫」というワードも出てきそうですよね

しかしこの「リンパ」の実態は今まさに研究が進んできた分野でもあり、逆に言えばこれまで研究が進まなかった分野でもあるのです。ここ最近で研究がまた盛んにされ始めたのはテクノロジーの進化は大きいのではないか、と思っています

人体の構成の中で、発生学的に考えてリンパ系はどの段階で生まれたのか?
内臓と脳を守るために骨が組まれ、身体を動かしより良い栄養状態にするために骨格筋が生まれ活動量が増え狩りなどができるようになり、それらの発達と共に神経系も発達していったと考えられています。では、リンパ系の発生はどの段階か?という問いは、鶏が先か卵が先かというような問にもなるので明確には難しいでしょうけれど、かなり原始的な段階で生まれていたと考えられます

生きているからこそ実態を持つ「リンパ系」は、まさに生きている証であり、その点が私にとってはとても魅力的に写っています

一方で、術後リンパ浮腫へのケアに携わることにおいては、生きているからこそ生まれてしまうリンパ液と変異していくリンパ管の変動に悩まされる、少し厄介なパーツでもあったりします

身体を動かすと必ずリンパ液は生まれます
一方でリンパ液は、血脈の流れと筋肉の動きによって流れが促進されます
これってすごく矛盾していると思いませんか?

この2つから言えることは、私たちが身体活動することで実態があるものだということ

術後リンパ浮腫を発症していると、または発症していなくてもリンパ節を1つでも失っている状態(センチネルリンパ生検などにより)では、身体活動により生まれたリンパ液の行先が少なくなっている状態なので渋滞が起きてしまうことが顕著になります

リンパ節やリンパ管が健康的であろう状態の人でも(先天的なものや手術などで切除していない場合)、浮腫みというのは存在していますが、リンパ浮腫発症の状態では明らかに「リンパ由来」の浮腫み(リンパ液のうっ滞)が起きてしまうのです


健康的な人へ運動指導などをするときには、身体活動により生まれたリンパ液の行先など考えなくてもよく、リンパ系のことを無視しても運動プログラムを組むことができる一方で、リンパ浮腫発症後の方には運動により生まれるだろうリンパ液のことや現在のリンパ管の状態のことも考慮しながらプログラムを組み立てないとリンパ浮腫増悪の可能性があり、またはそのような配慮に欠けた運動により実際に悪化するというケースもあるのが実情です

哀しいことに、失っていることでそのものがどのような機能や役割を果たしていたかが目に見えて分かるという状況になるのです

リンパ浮腫を改善していくためには、筋肉の活動量を増やすことは近道と考えられます
なぜなら、リンパ管の動き(リンパの流れ)は血脈の拍動よりも筋肉の動きにより何十倍も促進されるからです

しかし、筋肉活動量が増えるとリンパ液の量も増える?と考えられるので
大事なのはバランスと運動プログラムの組み立てになります

リンパのことなんて考えなくても良い身体であれば、簡単なことが
リンパにより考慮するポイントが増え、時期に適したエクササイズやツールの選定は必要になりますが、積み重ねていくことでできることは確実に増えていきますし、リンパ浮腫に対しても長期的な目でみれば運動というのはとても重要なものと考えれるので、リンパ系を考慮した運動プログラムをつくれる仲間が増えていけるように、私自身も精進するとともに仲間つくりにも尽力していきたい今日この頃です

がん術後の方が、リンパ浮腫リスクを抱えながらも気軽に運動できる場所と人の提供をしていくこと

BLUE ORGANIC SPACEを始めたときの想いは変わらず、やっと外へ発信していく時期がやってきたように思う今日この頃

私自身が研究者体質と言いますか、外への発信が実はあまり得意ではありません
内側へ掘り下げることの方が得意なのです

「リンパ×運動」という分野に興味を持ってくれる人が増えてきたようにも感じるので、私が少しでも役に立てればいいなと思うと同時に、リンパ系に運動をするという選択肢を増やせるように貢献したいと思います

最後までお読みいただきありがとうございました