BLUE ORGANIC SPACEでは、女性がんサバイバー、特に術後リンパ浮腫を抱えている女性への施術を提供しています
リンパドレナージュに始まり、運動と徒手施術を組み合わせられるコンディショニング、自律神経調整に働きかけやすいフェイシャルトリートメント、そしてリハビリヨガといったメニューからお選びいただき、女性とりわけ癌経験者への心身ケアをトータルコンディショニングという観点でサポートしております

BLUE ORGANIC SPACE(以下:BOS)は、当初リハビリヨガのみのサービスとして始まりました

以前勤めていた現場では、徒手療法がメインで運動療法をその場で行える環境ではなかったため、運動についてはご自身で自宅トレーニングをするかジムでの自主トレなどを勧めており、可能な方はパーソナルトレーナーを付けたトレーニングをご紹介していました

しかし、とある方にパーソナルトレーニングをお薦めし、通い始めた頃にリンパ浮腫へ配慮した運動はできないと断られたことがありました
もちろん、無責任に請け負うことはしてほしくないですし、できないことをできないと断ることもプロのやるべき事ではあるのですが、その時にとても寂しいような申し訳ないような複雑な気持ちになったのを今でも覚えています

人それぞれの背景や立場はあるとは分かりつつも、そのトレーナーは術後リンパ浮腫について、もとより目の前のクライアントについて、もっと寄り添う努力ができなかったのだろうか?という強い疑問

そして、「断られる」という経験をお客様に与えてしまった自分に何よりもショックを受け、目が覚め
「そうだ、私がやろう!」と思い立ち、術後リンパ浮腫を抱える方への運動サービスを具体化する手段について調べ学び始め、その1年後くらいにBOSをスタートさせました

術後リンパ浮腫への基本ケアは5つ
①圧迫
②挙上
③運動(圧迫下での関節運動を伴う運動)
④スキンケア
⑤用手的リンパドレナージュ

この5つのうち全てを網羅し、セルフケア指導まで行うのがリンパドレナージュセラピストの役割です。とくに運動による筋ポンプ作用*を利用してリンパ流を促進させるのは効果的であるとされています
*筋のコンセントリック収縮(力こぶができるような収縮)が周囲の組織への圧迫となり、ポンプのように働きかける作用のこと

運動はリンパ浮腫に効果的、とされているにも関わらず
「運動は禁忌」
「”過度な”運動は避けましょう」
と指導されることが大半な臨床現場に、ものすごい違和感と疑問が常々ありました

筋ポンプ作用がリンパ流を促進するのに、運動はダメ
これだけ聞くと、とてもハチャメチャですよね

実際に、リンパ浮腫の発症時期は人それぞれであることから原因が特定できず、また術前の身体機能や運動レベルによってもリンパ管の発達状況は異なります
千差万別、十人十色なリンパ浮腫発症までの道のりが、運動というまた複数の要素を無限に持ち合わせるアプローチではエビデンス的に確かなことを言いかねることに繋がっているのですね

私たちセラピストというのは、エビデンスはもちろん念頭に置きつつも、臨床で起きることはエビデンスには存在しないことばかりなのが現状です。では、どのように施術しているのか?というと、組織や構造そのものの生理学的・解剖学的・神経学的な基礎を常に応用して結果をだしていく

それが、私たちの「おしごと」です

その一端として、運動ももっと掘り下げて検討されるべき分野であると私は考えています

だって、「効果的」なんですもの

効果がある、という実態の線引きをどこにするのか
それは今までの臨床経験と日々追っている最新の情報から解を見つけ、そしてリンパドレナージュという施術でケアまでできる私の強みを持って、今のBOSのメニューは構成されています

安心して運動をしてほしいし
運動に踏み切ったあなたは、それだけで強いし素晴らしい
運動しないのがダメということではありません(笑)
人には好き嫌い、向き不向き、がありますので
自分にとって心地よい選択をされることが1番です

さて、術後リンパ浮腫へのオーガニックな処方箋とは

「運動」です

だって、身一つでできてしまうケアが他にあるでしょうか?

セルフマッサージはエビデンスとしては効果がないとされていますが
リンパドレナージュ(リンパを流すこと)だけにフォーカスしてしまうとそうかもしれません

しかし、当サロンでお客様へセルフケアをお伝えする際に、マッサージのようなことも指導することがあります。それによって結果的にリンパ浮腫の硬さが軽減することも見受けられます

マッサージは手や道具を使いますし、セルフでやるのは案外疲れます
しかし運動はどうでしょうか?

そして、運動のイメージってどんな印象でしょうか?

大変そう?疲れそう?運動神経わるいし?

運動と1口に言っても、様々な種類のものがあります
静的なものから動的なもの、関節可動域や機能面の改善のためのもの、痩せるためのもの、骨格調整のためのもの、神経調整のためのもの……..何のこと???となると思います

「運動」には、同じ動作を行う場合にも、焦点を変えるだけで何通りにもアプローチできるところを変えられる器の大きさがあります
逆を言えば、こちらの狙いとは全然違うポイントがクライアントには響いてしまった、ということも良くも悪くも起きるのが運動の面白いところです。クライアント:お客様の反応こそが私たちが次の手を考える評価になります

徒手施術も似たようなものではあるのですが、思ってもみない反応が出ることは少ないかもしれません
狙いと反応がずれることがあまりないからです。思いがけない好転反応はありますけれど
ヒトの身体に触れておいて、思ってもみない反応が出てしまうのは、かなりマズイです…苦笑

話は運動に戻ります
BOSでは運動のみのメニューを「リハビリヨガ」と称してヨガをメインにお届けしておりますが、実際にはスキンケアをしながらのウォームアップでリンパ浮腫やがん治療中の方へのセルフケアを一緒に行う時間に始まり、ヨガのアーサナやシークエンスを安全に楽しんでいただけるよう、コレクティブエクササイズ(修正のためのリハビリ要素の高い運動)を挟みながら、また心身ケアとして自律神経調整が必要な方にはそれに適したボディワークやリストラティブヨガ(回復のための静的なヨガ)なども混ぜこんで、全体的に「ヨガ」なセッションを提案しています

いいところどりのパーソナルセッションとなっており、「安すぎるよ!もっと料金取ってもいいんじゃない?」というお声を、有難いことによくいただきます。運動というカテゴリーでここまでをやってくれるセッションはあまりないのではないでしょうか?
このブログに書いたらパクられるかもしれませんが(笑)、パクられたとしてもBOSと同じ質を提供できる人はいないと思っております(強気…笑)
実際には、ここまでやってこの料金は安いよなぁと思わないことはないのですが(笑) KINGYOBACHIを開業するときにもリハビリヨガの料金だけは上げなかった理由があります。それは、もっともっと、このサービスが広く知られるようになったらお伝えする機会もあるかも?しれませんね

ヨガには素晴らしい教えも沢山あります
でも、けっこうヨガって難しいんですよ(笑)
運動学的観点だけでみても、安全に取り組もうと思うと意外と難しい面もあります
一方で、様々な解釈でライトにできるのもヨガの良いところであり私の好きなところです

ヨガに正解はないのです

術後リンパ浮腫に、なぜヨガなのか?
リンパ浮腫という病態の特性にマッチする点がいくつもあり、また心身を統合する実践としても素晴らしい

私自身も、自分の怪我や怪我に伴う心傷のケアに1番効果を感じたのはヨガでした
よく言う、ヨガに救われた、というやつです
スピリチュアルな意味合いよりも強くフィジカルやメンタルという意味で、心身が回復できたのです

実体験も込みこみではありますが
これまでにもリンパ浮腫を抱える方がヨガを継続して体力や筋力の維持向上にも繋がっていますし、ヨガそのものを楽しみたいけどリンパ浮腫があるから治療中だからとヨガクラスに行くことを諦めてしまう女性たちに、選んでいただけているという事実も増えてきました

そろそろ、術後リンパ浮腫になぜヨガなのか?の詳細についてもアップしたいところですが、それはまたの機会に

ヨガは、運動学的に神経学的に統合された運動であり、思想がベースになっています
思想を学ぶことで自己を深めることも良いですし、運動という実践で自己を知るということも
健康への大きな道筋になるのではないでしょうか

「オーガニック」の語源を知っていますか?
Origin:起源 です
始まりや元の元、という意味ですね
ヒトの身体は何をするために作られていると思いますか?
動くため、なのです
栄養を吸収できないと生物として生きられないので、内臓とくに腸が発生し脳と連携を取るようになり
動いて更に多くのより良い食べ物をみつけ、人との交流をはかることでより強く生きられるように
行動範囲を広くするために筋骨格系は発達したのです

ヒトの身体は動くためにある
運動が効果的なのは身体が望むことをやってあげるからです

さて、オーガニックな処方箋、いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました